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胆嚢摘出手術の記録(9)順調に回復して退院へ
のんびり書いていると、既に術後4ヶ月も経過していました。
退院後は一筋縄では行かず、大小いくつかトラブルがありましたので、今回はそちらの記録です。
術後9日目、胃の痛みで救急外来へ
退院後の傷の痛みは、ロキソニンなど痛み止めを飲まなくても普通に動けるくらいに回復していました。
ただ、入院中から症状のあった胃の痛みでなんとなくしんどいと感じる日々が続いており、食事はあっさりしたものを数回に分けて摂るようにしていました。
退院から1週間経ってもなかなか良くならず体力が落ちてきたので、病院に問い合わせたところ、救急外来をするように言われてその日に病院へ。
診察してもらったのは、偶然にも入院した日に麻酔の説明に来てくれた医師。救急と兼任しているそう。私は気づいていなかったのですが、向こうから言ってくれたので、説明しなくとも手術を受けたことなどはわかってもらえていたので安心しました。
やはりこの症状は逆流性食道炎ではないかということで、下記のような医療者向けのチェックシートを使いながら問診を受けました。
逆流性食道炎セルフチェック - イムス総合サービスセンター
結果はやはり、逆流性食道炎でした。
そして、麻酔科の先生だけあって、麻酔の合併症や手術の後遺症などを気にされていたようで、念のため再度一通り検査をすることになりました。
レントゲンと、心電図、採血も。
そして、採血の結果を待っている間、食事があまり取れていないと言っていたので点滴も。
ここで処置を受けるのは4回目です。救急センターに何度も来るというのもなかなかない経験…。
救急センターは、救急車で運ばれた重症の患者さんの処置がいちばん大事な任務なのだとは思います。でも、退院後などでここの病院にかかっていて何か異変があったとき、外来の時間外や主治医が来られない場合には、割とカジュアルに救急外来へ案内されるのには驚きました。
いきなりのコンビニ受診に使うのにはどうかと思いますが、退院間もない頃にはやはりちょっとしたことで不安になりやすいので、すぐに対応してもらえるのはとても助かります。
結局、検査結果は異常なし。
とりあえずガスター(胃酸を抑える薬)を3日分ほど処方してもらい、あとはかかりつけ医を受診するように言われて帰宅しました。
術後2週間、主治医の外来へ
その後の胃の調子は小康状態でしたが、息子が帰ってきたので幼稚園のお迎えや家事が増え、おまけに夏が近づいてきたので体力がなくフラフラ。なかなかしんどかったです。。
そして術後2週間目に、予定していた外来を受診。
まずは、摘出した胆嚢の病理検査の結果を聞きました。
胆嚢粘膜表面は立方上皮細胞により被覆されています。#1,#2においてコレステロールポリープを認めます。粘膜固有層における単核球浸潤は軽度です。胆嚢壁の線維筋性肥厚は軽度です。
Rokitansky-Aschoff洞は明らかではありません。
悪性所見は認められません。
とりあえず悪性のものはなかったということで、一安心。
胆嚢内部にも結局胆石はなく、最初のエコー通り、良性のポリープが2個あったという結果でした。
そして、前の週に救急外来を受診したことは主治医も確認済みで、そのことも聞いてみました。
うーん、まあ自分が逆食持ちということ、ロキソニンで胃が荒れていたことなど踏まえると関係ないとも思えるし、先生だって胆嚢摘出手術なんかは日常茶飯事だから、今まで多くの患者さんを見てるだろうし、そんなもんなのかな…と、その因果関係はイマイチ腑に落ちないまま。
ネットで検索してみても、「胆嚢を取ると油物で下痢をする」ということは大体書いてあるのですが、自分の場合はその時点で油物でも下痢は無し。そして続く胃の不調。同じ消化器なので、影響がないって本当なのかな??
医学書通りで、今では患者側もネットで得られるような情報はだいたい同じだとは思いますが、それ以外に因果関係のありそうな症状を訴えても、結局ほとんどの医師は「わからない」で済ませられることが多いです。そして患者側が感じるのは不安。医師側からすれば、実際にまだわからないことも多く、知っていること以外は簡単に肯定できないのだろうとも思いますが…。
そもそもの胆嚢の痛みも、病理の結果は隠れ胆石でもなく胆嚢炎という結果でもなく、あくまでも「胆嚢ポリープ」との診断だったので、15年も前からあったポリープが今更痛み出すとも思えず、真相は薮の中です…。
どちらに関しても、やはり原因は気になりますが、結果良ければ…なのかなと、これ以上問うのはやめました。
ただ、胆嚢を取ったことでその部分の痛みはきれいになくなったので、やはり痛みを発していたのはここに間違いはなかったのだなと思いました。
そしてそのまま診察終了となりかけたところで、そういえば傷口も見てくれてないやん…
ガーゼは剥がしてもらえました。
それまでは入浴はシャワーで済ませるようにと指示されていましたが、
とのことで、ようやく入浴解禁となりました。\(-o-)/
そして外来もこれで終了とのこと。経過が順調だったり、忙しい人にとっては、腹腔鏡手術は本当に負担が軽いなあと思いました。
術後20日目、傷口のトラブルでかかりつけ医へ
退院後には、腹帯はせずに傷口まで覆うようなハイウエストの下着でガードしていましたが、ガーゼも外れたので傷口にはアトファインという手術後の傷あとケアテープを貼り、暑くなってきたのでワンピースなどゆったりしたものを着て過ごしていました。
そろそろパンツを履いてもいいかな…と思い、ウエストゴムのパンツを履いていた日、傷口に当たってなんか痛いなと思って見てみると、へその上辺りにある1cmほどの傷口から出た液体が、アトファインを通り越して下着についていました。そして、傷口を見てみると、表面だけ少し開いているような…。溶ける糸での縫合だと、内側を縫うので、完全にくっつくまではこうなることがあるようですね。
胃も相変わらずだし薬もなくなるけど、主治医の外来までまだ日はあるし、救急外来というほどでもない…ということで、胆嚢の定期検査をしてもらっていたかかりつけ医のところへ。
そこで結局手術を受けたことを報告し、傷口を見せると、
とのことで、ゲンタシンという抗生物質の軟膏を塗ってもらい、大きなガーゼを貼ってもらいました。
そしていつもの胃酸を抑える薬(プロテカジン、ガスロン)を出してもらってこの日は終わり。
その後数日は同じように軟膏を塗り、ガーゼを貼っていると傷口がくっついてきました。
こちらの医師は、胆嚢摘出と逆流性食道炎の関連については、
実際に調べてみると、同じ説がいくつか見つかりました。
生理的には、肝胆汁は1日に500-1000ml生成されます。そのほとんどは胆嚢に入り粘膜によって5-10倍に濃縮されます。食事によって胆嚢収縮と乳頭部の弛緩が起こり濃厚な胆汁が十二指腸へ排泄され食物と混じり合います。胆嚢欠損しますと、持続的に胆汁は十二指腸に流出するため、これ自体の刺激や二次胆汁酸の増加、腸肝循環の増加によって、下痢や、腹痛が惹起される、あるいは胆汁の胃への逆流が起こりやすくなることがあります。独立行政法人労働者健康福祉機構 東北労災病院 外科
逆流性食道炎と胆嚢切除(PDF) – 順天堂医学
胆嚢摘出術と Duodenogastric Reflux – J-Stage
独立行政法人労働者健康福祉機構 東北労災病院 外科
術後35日目、右腹部に強い痛み
逆流性食道炎の方はむしろ悪化傾向で、お腹の調子も下痢になったり便秘気味になったりと不安定。
やっぱり胆嚢がないことに体が慣れるのにも時間がかかるのかな…と考えてはいたけど、やっぱりしんどい。。
術後1ヶ月経ってもなかなかだな…と思っていた頃、突然いつも以上に胃がムカムカ。吐き気止めのナウゼリンを飲んでもいまいちスッキリしません。
そしてへその横辺りを押さえると、引きつるような強い痛みが。
もしかして、虫垂炎とか!? もう勘弁してーー!!
不安ですが夜で病院に行くほどでもなかったので、とりあえず一晩様子を見ることにしました。
翌朝、再びかかりつけ医へ。徒歩数分のところですが、歩くだけでお腹に鋭い痛みが響きます。
これ、ヤバいやつちゃうん!?
ドキドキしながら診察室に入ると、先生は、
とにかく、虫垂炎とかではなくてホッとしました。さすがにそんなに立て続けにはならないですよね。。
で、その治療はというと…
とりあえず固形物を避けていれば、数日で自然に治るそうです。よかったー。
でも、その日は水を飲んだだけでも引きつるような痛みが走って辛かった…( ;∀;)
念のため、翌日予約が取れたので主治医(執刀医)の外来へ。
そこでも同じ診断で、更に厳しく
しかしその後のドロドロ食事療法が辛かった…。
お粥やスープなどを少しずつ食べていると、胃がどんどん小さくなってしまって食べられなくなり、おまけに逆食も治っていないので食は細るばかり。
そしてどんどん夏に向かって気温が上がる中、連日幼稚園のお迎えへ。
体力が更に落ちてしまって、常にフラフラ。
しんどくてしんどくて、本当に泣いてました( ;∀;)
その後〜現在
腸管癒着については、痛みは数日でなくなったのですが、その後2週間ほどかけてゆっくりと食事を普通食に戻していきました。
その後は、逆流性食道炎が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、ようやく夏を超えて普段どおりの生活に戻ってきた感じです。
胆嚢の痛みに耐え続けるのに比べると、取ってしまった方が良かったと思えますが、さすがに消化器の手術は一筋縄ではいきませんね。
今抱えているトラブルは、一番大きいへその傷口の肥厚性瘢痕と思われる症状。
術後3ヶ月経っても服のウエスト部分が当たると痛くて、なかなか良くならないなあと感じていました。
残り3箇所の小さな傷は、跡だけが残る程度に治ってきたので、アトファインも貼らずに様子を見ていたのですが、「そういえばおへそ痛くなくなったな」と思った矢先、傷口がミミズ腫れのように赤く盛り上がっているのを発見。
これも調べてみれば治療が必要と書かれているのですが、今は少し様子を見ている状態です。
また、主治医曰く、腹腔鏡手術ではリスクは低いが、手術を受けたことがあれば、癒着は一生、何度でも起こりうるとのことで、なかなかショッキングなことを聞いてしまいました。。
まあ、また何らかの腹部の手術を受けることになれば、手術歴があるのでほぼ必ず開腹手術になるんだろうと覚悟はしています。
病気は色々なことを見直したり考え直すきっかけを与えてくれます。こうした試練を乗り越えるのも、今必要なことなんだろうと思いながら、一つ一つ向き合って前に進むしかありません。