胆嚢摘出手術の記録(7)手術当日、術前〜手術〜術後管理まで

胆嚢摘出手術の記録(7)手術当日、術前〜手術〜術後管理まで
※写真はイメージです。

前回のエントリーはこちら。
胆嚢摘出手術の記録(6)手術前日、いよいよ入院

慌ただしく手術の準備開始

手術前夜、消灯時間の9時に寝たのはよかったのですが、目が覚めたのは午前3時。
まだ病室は寝静まっていて、ナースステーションから看護師さんたちの話し声が聞こえるくらいで辺りは静かです。
なんて平和な病棟なんだろう…なんて考えるヒマもなく、下剤の仕業でお腹がグルグルグル……
慌ててトイレに駆け込みました。。

その後、特に体調は変わりなく、緊張や不安があるわけでもなかったのですが、もう眠れず。6時に看護師さんが来るまで、スマホで時間をつぶしました。
6時にはバイタル測定と浣腸。血圧と体温を測った後は、お尻に薬液を注入されます。ヘルニアの時以来2回目ですが、この頃病院での人生2回目のことが色々早い…(笑)

看護師
しばらく我慢してからトイレに行って、出たらトイレからナースコールしてください。見に行きますんで。
え…出たやつまでチェックされるの? まあ、もう恥ずかしいことなんてほとんどないんですけどね…。
こうやって全身麻酔をする場合は食べ物が逆流して気管に詰まったりしないように、お腹の中を空っぽにしておくわけですね。

腹帯と弾性ストッキング
それから手術着に着替えます。
左側は腹帯。術後、傷口の保護のためにしばらく巻いておくものです。
手術着はいわゆる検査着、着物のような形のものを想像していたのですが、Tシャツのような形の布2枚を、プラスチックのスナップボタンで脇の下から裾までぐるっと留めていくような形のものでした。
下は、下着はそのままで、パジャマのズボンもそのままでよかったです。そして、用意してもらった血栓症防止のための弾性ストッキング(写真右)を履きました。

Yazi
穴が開いてる…
看護師
これは爪の色を見るためなんですよ。こうやってめくれるように。
Yazi
へー! なるほど。
看護師
この後、先生が点滴に来られるのでお待ち下さいね。

そしてしばらくしてから、「点滴させてもらいますね」と来られたのは、2人の若い女性医師でした。
あ、先生って、さすがに主治医じゃないのか。手術前だし忙しいもんね。。
1人は恐らくここの研修医、もう1人は医大の名前が入ったスクラブを着ていて、まだ緊張した面持ちの更に若そうな女性。実習に来ている医大生かなと思って見ていました。
その先生方が、点滴のルート確保(腕の静脈に点滴針を入れる)をしてくれるそうです。(だ、大丈夫…?)

その不安は見事的中。。。
二人がかりで左手の内側の血管を探して針を進めるも…入りません…orz
1回刺して失敗されるだけでもけっこうダメージ喰らいます。。

研修医
取りにくい血管だって言われたことないですか?
Yazi
言われたことないですねぇ。ここの看護師さんは皆さん毎回一発でしたし。
思わずキレ気味に言ってしまいました。。

そしてもう1回トライ。

医学生
申し訳ないです、もう1回入れさせてもらいますね
その表情が私を更に不安にさせます…。
針は血管じゃないところに入っており、焦って針をグリグリ……(いやいや、入ってないし。これあかんやろ…)
Yazi
痛っーーーい!!
めちゃくちゃ痛かったです…( ;∀;)

で、2回失敗されて「これから手術やのに、いい加減にしろよ」という心境になってきたところで、研修医と思しき女性に交代。
もう左手からは取れないのでやむを得ず右手から。(うー、術後の点滴長そうなのに右手か…辛いな)
今回は比較的スムーズに入りました。

その頃には既に手術開始5分前。
夫も到着し、手術室に移動する時間になっていました。

いよいよ手術室へ

手術室へは普通に歩いて移動します。案内してくれる看護師さんと夫と3人で業務用のエレベーターを待ちます。
手術室へ行く場合は他の階へ行く人は乗れないらしく、しばし待って手術室の階へ。
扉が開いた途端、あまりに無機質な空間だったので少し面食らいながらも、長い廊下の2番目くらいの部屋へ案内されました。

自動ドアが開くとまだ手術室ではなく、似たような部屋ではあるのですが、何用途の部屋なんだろう?
そこでその日の担当の手術室の看護師さんが待っておられ、名前を聞かれました。
その後「よろしくお願いします」と挨拶。
私物のサンダルで入ってきたので、手術室用のゴムのサンダルに履き替えます。
ここで案内してくれた病棟の看護師さんと夫とはお別れです。

手術室は、ドラマによくある「手術中」のランプと扉があってベンチがあって…みたいなスペースとは全然違い、どこかの会社のバックヤードか工場?と思うような空間でしたが、さすがにそこにはピンと張り詰めた空気が流れていました。
夫は私の病室か、デイルームで待つように言われたとのことで、これもよくあるドラマのシーンとは違いますよね。

そして私は看護師さんに案内されて、その部屋の奥の自動ドアを更に進みました。そこには細長い廊下があり、番号がついた手術室への自動ドアが並んでいました。

「おお、これが本物のオペ室か…」

いよいよ緊張感が増してきます…が、やはり恐怖心はありません。
看護師さんが立ち止まり、その中の一室に入っていきました。私もついていきます。

想像よりもコンパクトな空間の真ん中に手術台があり、天井には無影灯、そしてたくさんの医療機器が並んでいます。それらを取り囲むように、既にスタッフの方が数人待機しておられました。
手術室を観察するヒマもなく、挨拶もそこそこに、「ここに横になってください」と手術台へ案内されました。手術台は幅が狭く、体がはみ出す人もいそうなくらいのサイズです。
横になると早速緑色の布をかけられ、その下で身に着けているものを全て脱ぐように言われます。
全裸になった状態で、足首にフットポンプをつけ、足元には電気毛布をかけられました。
それが終わると、何も言わずにいきなり酸素マスクをつけられ、むせる私。
「お薬のせいなので大丈夫ですからね」と。

…そこからは全く記憶がありません。
よく全身麻酔をかける際に「10数える間に云々」というのを聞きますが、そんなものもナシ。
主治医が手術前に声をかけてくれるとかもナシ。
この流れを振り返っても、他の病院の手術体験記を読んだりしても、正直な感想が「けっこう雑だったな…」です。。

手術は無事終了、再び病室へ

そして記憶が復活したのは、手術が終わって麻酔から覚めた時。

オペ看?
○○さーん、終わりましたよ
と声をかけられました。
「手術、終わったんだ」と、まだフワフワした状態のまま思っていました。

その後、病室のベッドに移され、またエレベーターに乗って病室に戻ってきたようですが、その間もほとんど意識はなく、次に目が覚めたときには病室で酸素の管が鼻に入っていました。
私が目を開いた瞬間、看護師さんが酸素の管を抜いてくれましたが、その他にも管だらけの状態。
胸に心電図、左腕に血圧計、右腕に点滴、右人差し指に酸素濃度計、両足首にフットポンプ、そして尿道カテーテル

だんだん麻酔が切れてきて、意識がはっきりしてくるに連れて、ムカムカした感じが襲ってきました。
それは麻酔科医の説明で聞いてはいましたが、まさか自分にも起こるとは思わず。突然の気持ち悪さに混乱してしまいましたが、看護師さんがすぐに気づいてくれて、吐き気止めの薬も使えるとのことで点滴で入れてもらいました。
すぐに効いてきて、気持ち悪さはなくなったのでよかったです。

隣には夫がついてくれていました。時間を聞くと、12時半ぐらい、と。手術は全部で約3時間くらいかかったようです。
私は朝から主治医(=執刀医)の顔を見ておらず、本当にあの先生が手術してくれたのかな? と思っていたのですが、夫は手術終了間近に再度手術室内にある待合に呼ばれ、主治医が摘出したばかりの胆嚢を見せてくれたとのことでした。
むしろ、自分がいちばん手術中の様子とか手術で取ったものとか見たいのに(笑)

モニター

ベッドサイドにはモニターが置かれ、体を動かすと大きな音でアラーム音が鳴ります。
「明日の朝、先生が確認されたら管は外れますからね」と看護師さん。
「うー、この状態で一晩か…。今日は一睡もできそうにないな」
と覚悟はしましたが、まだお昼。時間がありすぎて辛い…。

よほど辛そうに見えたのか、看護師さんが「ベッド代はいりますけど、旦那さんに付き添ってもらうこともできますよ」と。
「いいえ、大丈夫です」と即答(笑)
私はそれどころか、「何かあれば看護師さんがやってくれるから、もう仕事行っていいよ」と言って、午後から仕事に行ってもらいました。

地獄の術後管理

手術当日は、3時間毎にバイタルチェックが入るそうで、もちろん夜中も看護師さんが何度も様子を見に来られるとのことでした。

しかし辛い。。何が辛いかって、
・管だらけで身動きが取れない
・動くとアラーム音が鳴るので、周りにも気を使う
・同じ姿勢でいると、ベッドが硬いので腰が痛い
・フットポンプが絶え間なく動くので気になる
・とにかくしんどいのに眠れない
・何かで気を紛らわせるほどの気力がなく、何も出来ないのでひたすら時間が長く感じる

でも、『傷口の痛み』これだけはほぼありませんでした
これは術後の疼痛コントロールのおかげなのか、腹腔鏡手術で傷口が小さいからなのか、わかりませんが…。
しかし逆に、それ以外でこんなに辛いことが沢山あるとは予想していませんでした。
そして更にこの他にも…

午後2時頃には早くもお茶などの水分補給の許可が下りました。
どうやら気管挿管のせいで喉がいがらっぽかったので、早速お茶を少し口にしました。
すると、お腹がグルグル…止まっていた腸が動き出したようで、気持ち悪い…。
腸の中にはまだ残っているものがありそうですが、トイレに行けない上に、さすがに術後すぐにおむつの中にいきむ勇気もなく、ここは水分補給を諦めて我慢しました。。
看護師さんも「点滴が入っているので、無理に水分をとる必要はないですよ」とのことでした。

夜に差し掛かって、夫から「夜も行ったほうがいい?」とメール。
精神的にちょっと参ってきていたので、仕事が終わってからまた来てもらうことにしました。

そして夫が顔を出してくれたと同時に、またお腹が音を立ててグルグルグル…
もうこれは出したほうがスッキリするなと思い、勇気を出して出しました。スッキリ。
しかし、ヘルニアの入院時から何度も経験しているとはいえ、その後ナースコールをして処理してもらうことなど、やっぱり慣れませんね。できればあんまり人の手を借りたくないです。。

これで腹筋を使ったせいか、初めてお腹の傷らしき箇所が少しズキズキと痛むようになってきました。
看護師さんも、こちらから言わずとも「傷は痛みませんか?」など聞いてくれたので、耐えられないほどの痛みではなかったのですが痛み止めを入れてもらいました。

また、腸が動き出したことはわかりましたが、聴診器でお腹の音を聞いたり、「ガスは出ていますか?」などこまめに聞かれました。
手術の際に炭酸ガスでお腹を膨らませているので、それを早く体外に出した方がいいようです。

まさに地獄の一夜

8時の面会終了時間には夫が帰り、9時には消灯時間に。
しんどいのに、全く眠れない…。

傷口の痛みは大したことないので、同じ姿勢でいるのも辛く、ひたすらゴロゴロと寝返りを打っていました。
すると寝返りを打つ度に、手術着の脇の部分のスナップボタンが「ブチブチブチ」と外れます。
そしてやはり気になるモニターのアラーム音。これは一度頭を上げればなぜか消えることがわかりました。

いちばんしんどかった要因はフットポンプ。これのせいで本当に眠れなかったです。気持ちいいぐらいの感じだったらよかったのかもしれませんが、とにかくプシューという音が大きく、けっこうな圧がかかるので、気になってしょうがなかったです。

それでも、時々はウトウト眠っていたようで、目が覚めたら1時間経っていて、また1時間ほどウトウト…というのを繰り返していました。
一晩だけとはいえ、手術の後がこんなに時間が長く感じて辛いとは思いませんでした。

(つづく)

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