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胆嚢摘出手術の記録(7)手術当日、術前〜手術〜術後管理まで
夜が明けて管からの開放、術後検査
長かった夜が明けた朝6時、看護師さんがバイタルチェックに来ました。
先生が来られる8時頃までは管類は取ってもらえないのかと思っていましたが、間もなくしてモニターとフットポンプが外れました。
やっと開放された!! \(-o-)/
その後は早朝にも関わらず、術後の検査が相次いで入ってきます。
まずは採血。またも頼りなさげな男性のスタッフが病室にやってきました。
私はろくに眠れず疲れ切っていたのと、気管挿管の影響で喉が痛くて声が出ず、話しかけられてもうなずいたりジェスチャーで応じるのが精一杯でした。
その男性スタッフは、上がっているベッドの柵も下げず、まだ薄暗いのに電気もつけずに、術前の点滴失敗でアザになっている左腕の血管に針を刺しました。
そして抜いたところで血がシーツにポタポタ。
私は医療スタッフはみなさんプロだと思っているので、余計なお世話だと思って何も言わずにお任せしていたのですが、柵の上からではやりにくそうだし、暗いところで血管は見えていないし、わざわざアザの上から刺すしで、また失敗されたところでプチン。
新人? 本当に医療職? いやいや、ほんまどーなっとんねんここは…。。
それから疲れてぼんやりしていると、「胸の写真撮りますね」と、大きな機械をガラガラと押しながらまた誰か来ました。
いや、だって、そもそもX線撮影は厳重なドアで仕切られた部屋の中でやるものなのに、まさか持ち運び可能なものがあるなんて知りませんでしたよ…。
以上で、術後の検査は一段落。
ただ、その頃いちばん苦しんでいたのは、意外なことに空腹でした。
丸一日以上何も食べていないので、明け方頃からお腹が空いてきたのですが、水分を取ればまたお腹が痛くなるのかなと考えるとそれもできず、ひたすらグーグー鳴り続けるお腹と格闘していました。
でも、次に食事が出てくるのは昼食だそうなので、それまでは我慢しかありません。うー。
手術の前には、帝王切開で出産した母や手術経験のある父も、翌日食事が出てきても食欲なんかなかったと言っていたので、そういうもんだよね、と思っていたのですが、まさか消化器の手術をしているのに、食事が出てくるまでにお腹が減って仕方ないなんて…聞いたことないですね(汗)
しかも、ずっと電解質やブドウ糖などの栄養分の点滴をされていたので、栄養さえ体内に補給されていれば食欲は起こらないものだと思い込んでいました。
また余談ですが、点滴していれば、水分は経口摂取しなくとも尿として排泄されるんですね。…まあどちらも考えてみれば当然なんですが。。
そして午前7時半。私にとってなかなかの地獄のひとときがやってきます。それは同室の私以外の患者さんの朝食時間。
…生殺しやん、これ…。
地獄でしたが耐え忍びました…。
ドラマの如き回診タイム
8時頃になり、前回の入院時には聞いたことのない放送が入りました。
「まもなく外科の回診が始まります。」
白い巨塔みたい。こんなの本当にあるんだな…外科ではこういう放送が入って毎日回診をする病院ってあるみたいですね。
廊下では何人かの男性医師らしき足音と声が聞こえます。
それが近づいて来たかと思えば、カーテンの向こうで「昨日手術の〇〇さん」と私の名前が呼ばれています。
そしてカーテンが開き、案内役?の中堅くらいの医師と確か外科部長がベッドサイドに。
そして数名の若い男性医師たちがその後ろにズラッと。
おおお、なんじゃこりゃ。。。マジで白い巨塔の回診やん。。。
外科部長がおもむろに手術着のボタンを外し、腹帯も外して傷口を確認されました。
「ノードレーン」とは「ドレーン無し」という意味ですが、通常術後は、傷口から血や体液を排出するドレーンというチューブを出しておき、出血が止まれば抜くそうなのですが、今回はそれがありませんでした。
また、傷口には防水の透明テープがついた大きなガーゼが貼ってあったのですが、それを見て看護師さんや先生方が「きれい」と言われる意味がよくわからず…血も滲んでるけど、これきれいなん?? とずっと思ってました。
そしてこの外科の回診では、何人ものお医者さんたちに囲まれて服をめくられお腹を見せる。…何の見せ物やねんなw と思っていました。こんなのでも何か勉強になるんでしょうかね。一応手術が無事終わり、経過は順調ですよという報告なのでしょうね。
冷静に考えたら、会議室で報告をするよりは、実際に患者さんを見ながら医師全員で回診をする方が良いのはわかりますが、何とも不思議な光景で、実際に見られる方はこれまた何とも言えない妙な気分になったのでした。
ついに歩行開始
この時点で残っていたのは、尿道カテーテルと点滴。
まだおむつだったので自分で拭いて、普通の下着に履き替えましたわ。。
そしていよいよ看護師さんに付き添われて、ゆっくりとベッドから立ち上がります。
立ちくらみに加えて、上半身を起こしただけで傷口がズキズキズキ…
キャスターの付いた点滴棒を押しながら、転ばないようにヨチヨチと歩くのが精一杯。
腹筋を使って上体を起こすとお腹の傷が痛むし、ちょっと背中を丸めると傷の痛みはマシだけど腰を痛めそう…。
やっぱり横になっているだけなのと、立って歩くというのは全く筋肉の使い方が違いますね。
手術の傷は、切り傷のような鋭い痛みや、お腹の中を切られた痛みはなく、表面の傷口がただズキズキと痛むような感じでした。
無事トイレにも行けて、残すは点滴のみ。こちらは食事がきちんと取れるようになるまで続くそうなので、まだしばらくついたままで、移動するにもコロコロと点滴棒を連れていきます。
そして11時半頃。外来の合間を縫って、主治医が顔を出してくれました。
朝の個別回診はまた女性研修医のコンビだったので、主治医と顔を合わせるのは手術前日以来でした。
待ちに待った食事のはずが…
午前中は何かと忙しく、朝方の空腹が紛れているうちに昼食が運ばれてきました。
私の食事は、お粥と食べやすく軟らかいもののメニュー。
写真を撮ることなどすっかり忘れていたのでメニューも忘れてしまいましたが、鮭のムース、ごま豆腐、生麩などが出てきた記憶があります。
これだけ空腹なので、ペロリと平らげられるだろうと思っていたのですが…食事がなかなか入っていきません。
絶食の時間が長すぎて胃が小さくなってしまったのか、胆嚢のない状態での食べ物の消化に体が慣れないのか…
食事自体はとてもおいしかったのですが、半分くらいでギブアップしてしまいました。
そして食後から、傷の痛み止めとしてロキソニンが処方されました。
これを飲んでからは、元々胃が弱く、逆流性食道炎になりやすいので、早速副作用のせいで胃が気持ち悪くなってきました。
空腹のところに食事をとったことで、一気に胃酸が出た感じがしていたので、嫌な予感はしていたのですが…持参したガスターを飲んでもいいか確認して、早速胃薬を飲みました。
その反面、傷の痛みにはロキソニンは効果てきめんで、午前中なるべく腹筋を使わないようにゆっくり歩くのが精一杯だったのに、これを飲むといつもと同じように背筋を伸ばしてスタスタと歩くことができました。
できるだけがんばって歩く
歩けるようになってからは、他の科の病棟をゆっくり散歩してみたり。
昨年入院していた整形外科の病棟にも行ってみましたが、案外看護師さんの顔とか覚えていないものですね。きっとお世話になった人もいるはずなんですが、わからなかったです。
術後は体力回復や傷口の癒着防止のために歩かないといけないのですが、初日なので病棟内をぐるっと回っただけで精一杯。あーしんど。。
あんまり歩くと、ヘルニアのせいで腰も痛むし足も痺れだすのでほどほどに。
そして夕食の時間になりました。
ご飯がまだお粥なのに、おかずがいきなり竜田揚げ…おかしない?(笑)
とか心の中でツッコミまくりながら、胃酸抑える薬まで飲んでるくせに食べましたけどね。
やはりすぐには食欲は戻らず、7分目ぐらいで満腹になりました。
そして6時の夕食終了以降はみなさんすぐに寝てしまうこの病室。
食後は1日の終わりといった感じで、私も術後眠れず疲れていたので、この日は消灯時間前には眠りについてしまいました。