September

あるときは深く絡み合った人の中で、私の記憶が消されていくのを感じるとき、それはショックというよりもどこか秋の入り口に差し掛かったときの微かな虚脱感に似ている。
8月半ばからすっかり涼しくなった上海。
5月からの長かった夏がようやく過ぎ去ったとはいえ、これからは寒くなるばかりだと思うと、なんともいえない焦燥感がある。
忘れ難いほどでもなくても、しばらくは記憶の片隅に残っている小さな思い出が、あるときふと現実のように湧き上がる瞬間がある。
9月は少し物憂げな季節だ。