上海の甘い罠

数日間の引きこもり。
食べたくない、考えたくない、なんて欲望以前に眠気が襲う。
暗い部屋にひとり帰ってはベッドに潜り込み、束の間の無意識の開放感に浸る。
知らない番号からの着信音で起こされると、あまりにくだらない仕事の電話。
2度目の電話は、すまないけども無視させて。
そんな毎日の繰り返し。

またひとつ上海の甘くて苦い罠から搾り出された醜い結果に、信じようにももう信用なんて言葉のない現状が襲ってきて、そこには空虚という言葉しか残らない。
同時に苛まれるのは自分自身の価値を見極める岐路の選択。

彼の涙を見たとき、純粋な心の脆弱さと汚れた心のしぶとさを憎んだ。
やり場のない気持ちが、突然あの人に会いたいという恋心に転化した。
今頃何をしているのだろう。